中川先生の「ためになる話」

春

 春です。でも心のなかの桜は満開というわけにはいきませんね。確かに一年間頑張ってきた結果が出なかったのは悔しいだろうし、惨めに感じるかもしれません。

 ぼくは今58才です。このくらいの年齢になると人生という山の頂きにいるようなものです。つまりは、これまでぼくが歩いてきた道筋が遥か下に見渡せるし、これから老化して最後を迎えていく道筋も何となく見渡せます。良くも悪くも、ぼくの人生はこんなものなのでしょう。

 皆さんからすれば、目の前に急峻な山がそびえ立っていて、どう昇って行っていいのやら見当もつかず右往左往の状態かもしれません。ぼくもそうでした。気がつくと救急の医師から始まり、癌病棟で勉強させてもらい、精神科でココロの病気について学ばせてもらい、漢方医学の研究所では東洋医学を勉強させてもらい、開業してからは患者さんから多くのことを学ばせてもらいました。
 さらに大学で教鞭を取るようになってからは、医学や医療そのものについて考えるようになりました。いろんな変遷を通して今ぼくが考えているのは、その時その時で一生懸命になるのが一番いいということです。ぼくがいつでもそう出来てきたわけではありません。時には沈み込んでしまって「自分はこの職業に向いてないのでは」とか「もうやめよう」とまで思い詰めたこともありました。でも、気がつくとここまで来てました。

 大切なことは目の前の事に集中することだと思います。目の前に山があれば昇ることに集中することです。「この山は自分の昇る山じゃない」とか「自分に昇れるだろうか」なんて不安がよぎるのは仕方ありません。でもね、今は昇ることに集中する時です。心配は取りあえず一年間棚上げしておきませんか。皆さんの心配については来年の春、満開の桜の下でいくらでも聴いてあげます。え?その時はもう必要ないってですか?それはいいことですね。ただし、どうしても苦しくて棚上げ出来ない人はいつでも相談にのりますよ。

顧問医師:中川 晶

中川晶先生プロフィール

中川晶先生プロフィール

 産経新聞の『中川晶の"生き方セラピー"』でご存知の方もおられると思います。
10年来お付き合いいただいている私共が言うのもなんですが、それはもう愉快な方で、一度語り始めると尽きることがないかのように実に幅広い、しかも有益で面白い話題が湧き出てくるのです。これはおそらく、一度や二度ではない挫折体験と、森羅万象に対する、特に人間に対するとてつもない興味がなせる技だと思えます。受験生についてもご自身の実体験と、臨床心理士としての深い洞察から、真の受験生の心の友となっていただけること請け合いです。先生のユニークで的を得たお話しを、お楽しみください。

  • 奈良学園大学保健医療学部教授
  • 大阪大学医学部講師
  • 心療内科医・臨床心理士
  • 京都大学講師
  • なかがわ中之島クリニック院長
  • 大阪医歯学院顧問医師
<著書・共著>
「心療内科のメルヘン・セラピー」(講談社)
「やすらぎが見つかる心理学」(PHP)
「心理療法」(朱鷺書房)
「ココロの健康からだの医学」(フォーラムA)父(故人)中川米造先生との共著 他

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