中川先生の「ためになる話」

今回は、本当に「凄い人」というのはこういう人を指すのだと納得してしまう"ためになる"話です。

凄い人に出会った話

今回はぼくの師匠の話をしましょうか。8年前に53歳の若さで亡くなった天才精神科医です。頭のいい人なんて吐いて捨てるほどたくさんいるけど、この人ほど凄い人は見たことがありません。

  例えばサル山に一匹だけ見かけはサルだけど、中身は人間が居たらどうでしょう?このサルは圧倒的に有利な地位を独占することが出来るでしょう。でも知能の差が圧倒的だと、他のサルとあまり争わないんじゃないかな。きっと靜かに暮らしていて、請われれば教えもするけど、基本的には独りで楽しく知的好奇心を満たしながら遊んで暮らすんじゃないだろうか・・・中身は人間だからサル社会を変えようなんて基本的には思わないし、でも、支配しようとも思わない。だって、大人が小学生のなかでガキ大将になるために必死になったりしないでしょ。

 そう、師匠はまさにそんな人、つまりはサルの中の人間のように、人間のなかに住んでた人間以上の人「超人」だったのかもしれない。こう書くと、もはや物語の世界みたいだけど、本当に師匠は超人だった。精神医学はいうに及ばず内科・外科にも精通し、全ての骨の出っ張り、くぼみの名称までラテン語でスラスラ出てくるほど。西洋医学だけでなく漢方医学も詳しかった。しかし、こんなのは序の口で、ほんとの凄さはここから。動物学・植物学から哲学・思想・宗教さらには文学、映画、漫画、落語、写真、ほとんどどんな分野でも知ってる博覧強記ぶり。確かに物知りというのは多いけど、大抵はハッタリの多い人で性格悪いのが多い。要するに「オレはお前より優れているぞ」と言いたいわけです。つまりは必死にドングリの背比べをするわけです。でも師匠の場合はその必要が全くなかったようです。圧倒的な差というのは優しさと結びつくようです。師匠は何年もある新聞の人生相談を受け持っていて、史上最強の人生相談と歌われました。大学の講義ではあまりの人気で講義室が溢れていました。診察室では他の医師が匙を投げた患者が治っていきました。ぼくは時々思うのですが、あんなに凄い人が何故医学部に進んだのか不思議な気がします。でも、とどのつまり師匠は人間が好きだったようです。

 さて、いかがでしたか。物凄い人の話って面白いでしょ。ぼくなんか毎日つまらぬことで悩んでいるとき、圧倒的に凄い人のことを聞くとなんだか勇気がわいてきます。

顧問医師:中川 晶

中川晶先生プロフィール

中川晶先生プロフィール

 産経新聞の『中川晶の"生き方セラピー"』でご存知の方もおられると思います。
10年来お付き合いいただいている私共が言うのもなんですが、それはもう愉快な方で、一度語り始めると尽きることがないかのように実に幅広い、しかも有益で面白い話題が湧き出てくるのです。これはおそらく、一度や二度ではない挫折体験と、森羅万象に対する、特に人間に対するとてつもない興味がなせる技だと思えます。受験生についてもご自身の実体験と、臨床心理士としての深い洞察から、真の受験生の心の友となっていただけること請け合いです。先生のユニークで的を得たお話しを、お楽しみください。

  • 奈良学園大学保健医療学部教授
  • 大阪大学医学部講師
  • 心療内科医・臨床心理士
  • 京都大学講師
  • なかがわ中之島クリニック院長
  • 大阪医歯学院顧問医師
<著書・共著>
「心療内科のメルヘン・セラピー」(講談社)
「やすらぎが見つかる心理学」(PHP)
「心理療法」(朱鷺書房)
「ココロの健康からだの医学」(フォーラムA)父(故人)中川米造先生との共著 他

ページトップに戻る