中川先生の「ためになる話」

マシュマロ・テスト

マシュマロ・テスト さて、今日の話題はマシュマロ・テストと言います。変なタイトルですが、心理学の方ではかなり有名なテストです。
 中身はとてもシンプルです。実験室に4歳児に来させて、目の前においしそうな一個のマシュマロを見せます。そして、「君はマシュマロが好きかい?もし欲しかったらそのマシュマロを今すぐ食べていいよ。でも、おじさんが戻ってくるまで食べるのを待てたらマシュマロを二個あげられるよ。どっちにするかは君の自由だよ」と言って実験者は部屋を出ます。子供の待ち時間は最長で20分です。
 さて、結果はどうなったでしょう。多くの子供でこの実験を行いましたが、結果が分かれました。すぐに食べる子もいれば20分我慢してマシュマロ2個をせしめた子もいました。ここまでは、「そりゃ性格だな」で済みますが。マシュマロ・テストの凄いのはここからなんです。マシュマロ・テストが始まったのは1960年代後半、550人以上の4歳児がこのテストを受けたのですが、この子たち全員のその後の発達、変化を50年近く追い続けたのです。
 10年後、テストで先延ばしの出来た子は「自制心の強い子」と評価されていましたし、全国進学適性試験でも先延ばしできた子の方が有意に良い点数を収めていました。20年後、こちらの子らは、危険な薬物を使うことが少なく、対人関係が良く、犯罪に関係することも少なく、肥満指数も低く、高い教育水準に達していたと報告されました。
 4歳で目の前のマシュマロを食べるのを我慢して2個のマシュマロのせしめることのできた子はその後の人生でも何かと有利に事を運ぶことができたようです。

 「三つ子の魂百まで」と言いますが、我慢できる力というのは人生の荒波を渡っていく上でかなり大きな武器になります。
 マシュマロ・テストの立案者ウォルター・ミシェルは「我慢できる力はトレーニングで伸ばすことが出来る」と述べています。ぼくの個人的な意見に過ぎませんが、まさに浪人時代が最も我慢できる力を伸ばすことのできる時期だと思います。
 ぼくなんか本来は真っ先にマシュマロ一個を食べてしまうタイプなのですが、浪人時代があったからこそ、なんとかやってこられたように思います。
 皆さんも来年のマシュマロ2個目指して、今が頑張りどきですよ。

顧問医師:中川 晶
平成28年12月

中川晶先生プロフィール

中川晶先生プロフィール

 産経新聞の『中川晶の"生き方セラピー"』でご存知の方もおられると思います。
10年来お付き合いいただいている私共が言うのもなんですが、それはもう愉快な方で、一度語り始めると尽きることがないかのように実に幅広い、しかも有益で面白い話題が湧き出てくるのです。これはおそらく、一度や二度ではない挫折体験と、森羅万象に対する、特に人間に対するとてつもない興味がなせる技だと思えます。受験生についてもご自身の実体験と、臨床心理士としての深い洞察から、真の受験生の心の友となっていただけること請け合いです。先生のユニークで的を得たお話しを、お楽しみください。

  • 奈良学園大学保健医療学部教授
  • 大阪大学医学部講師
  • 心療内科医・臨床心理士
  • 京都大学講師
  • なかがわ中之島クリニック院長
  • 大阪医歯学院顧問医師
<著書・共著>
「心療内科のメルヘン・セラピー」(講談社)
「やすらぎが見つかる心理学」(PHP)
「心理療法」(朱鷺書房)
「ココロの健康からだの医学」(フォーラムA)父(故人)中川米造先生との共著 他

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