中川先生の「ためになる話」

ストーンフィッシュ

 去年の夏、心理療法の学会で中国の西の果て、ゴビ砂漠まで行ってきました。
そこは行けども行けども砂漠また砂漠で地面の温度は摂氏70度。気温だって半端じゃありません。40度はゆうに超えています。こんな所をバスで延々走るのですが、野生動物の姿どころかサボテンも生えてません。主役は生き物ではなくて砂や岩、つまり鉱物です。
バスで延々と走るうちにあまりに熱いので頭がボンヤリしてきて、いつもの妄想が始まりました。ぼくは時々想像に耽ってしまう癖があります。
砂漠に突き出したゴツゴツとした岩々が魚に見えてきました。そのうち一滴の水もない荒涼とした砂漠が大海原のようにうねりはじめました。
岩に見えたのは大きな魚の背びれでした。鮫のように背びれで砂の海を切って元気よく泳ぎ回っています。大音響がしてそちらに目をやると、遠いところでストーンフィッシュが力強く砂の海から飛び出し大ジャンプです。
水しぶきではなく砂しぶきが派手に舞い上がります。よくみるとあちらこちらにストーンフィッシュの大群が泳ぎ回ってます・・・・

図‐ ストーンフィッシュのスケッチ
ストーンフィッシュのスケッチ

 100年一コマでコマ撮りすれば、我々の一生は一コマにも満たない一瞬に過ぎません。
そんな瞬く間にあくせく、悩んだり、苦しんだりするのが人間ということになります。視点を遠くにしてみると大抵のことは、大したことではありません。
時にはストーンフィッシュの視点で物事をみるのはいかがでしょうか?それとも、ちょっと妄想が過ぎましたか?でも、少しラクになりましたか?もしそうなら嬉しいのですが。

顧問医師:中川 晶
平成26年5月

中川晶先生プロフィール

中川晶先生プロフィール

 産経新聞の『中川晶の"生き方セラピー"』でご存知の方もおられると思います。
10年来お付き合いいただいている私共が言うのもなんですが、それはもう愉快な方で、一度語り始めると尽きることがないかのように実に幅広い、しかも有益で面白い話題が湧き出てくるのです。これはおそらく、一度や二度ではない挫折体験と、森羅万象に対する、特に人間に対するとてつもない興味がなせる技だと思えます。受験生についてもご自身の実体験と、臨床心理士としての深い洞察から、真の受験生の心の友となっていただけること請け合いです。先生のユニークで的を得たお話しを、お楽しみください。

  • 奈良学園大学保健医療学部教授
  • 大阪大学医学部講師
  • 心療内科医・臨床心理士
  • 京都大学講師
  • なかがわ中之島クリニック院長
  • 大阪医歯学院顧問医師
<著書・共著>
「心療内科のメルヘン・セラピー」(講談社)
「やすらぎが見つかる心理学」(PHP)
「心理療法」(朱鷺書房)
「ココロの健康からだの医学」(フォーラムA)父(故人)中川米造先生との共著 他

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