中川先生の「ためになる話」

ユーモアについて

最近、ユーモアが少ないように感じるのはぼくだけだろうか。話していても、 真剣なのはいいけど、すぐ深刻になっちゃう人が多い。学生の皆さんもそうだし、 患者さんもそう。え?患者さんって深刻で当たり前だろうってですか?まあね。
でも以前はもう少し患者さんも余裕があったように思います。例えば、ぼくが 「元気そうになりましたね」というと「先生、それを言ってはいけませんよ。 私は元気といわれると落ち込むんです」と答える患者さんがいました。何故かというと 「元気に見える」と言われると自分はこんなに苦しんでいるのに分かって貰えないと 思ってしまうのだそうです。それで、ぼくはその患者さんには、いつも真剣な顔で 「苦しそうですね」と言うのです。するとニッコリして「でしょ」と嬉しそう。 変なんですけどね。そんなこと繰り返してるうちにどんどん元気になって、とうとう 本当に元気になってしまいました。

 ユーモアって大事なんですよ。先の患者さんもユーモアのセンスを持ってたようです。 だって、医者に向かって、元気そうと言われると落ち込むなんて、なかなか言えるもの ではありません。笑えると深刻さが軽くなります。
アメリカのノーマン・カズンズという 作家の場合、重症の膠原病で堪え難い全身の痛みで入院していろいろ治療したのですが、 痛みがとれません。ところが、ある日テレビで「どっきりカメラ」のような番組を見ていて 大笑いしたのですが、不思議と笑っている間は痛みが完全に消えたことに気付いた彼は、 病室にビデオを持ち込んでお笑い番組ばかり見て、一日中ゲラゲラ笑ってました。 そのうち病院側からは、うるさいと言われて、それなら退院するということになり、 とうとう病気を自分で治してしまいました。

 みんなも受験で悩むことも多い時期なのですが、真剣になりすぎないようにというのが ぼくのアドバイスです。真剣になりすぎると深刻になり、深刻さが高じるとコチコチ頭に なって身動きが取れなくなります。もしコチコチになったら、そんな自分を外から見て ごらんなさい。若くて力も能力もある人が「ぼくは、もうだめだ!」とか「私なんて最低!」 と叫んでいるのを見たら少し滑稽で笑えるでしょ。他人を笑うのは残酷な時もあるけど、 自分を笑えるようになったらユーモアのセンスが磨けたと思ってよろしい。

顧問医師:中川 晶
平成24年6月

中川晶先生プロフィール

中川晶先生プロフィール

 産経新聞の『中川晶の"生き方セラピー"』でご存知の方もおられると思います。
10年来お付き合いいただいている私共が言うのもなんですが、それはもう愉快な方で、一度語り始めると尽きることがないかのように実に幅広い、しかも有益で面白い話題が湧き出てくるのです。これはおそらく、一度や二度ではない挫折体験と、森羅万象に対する、特に人間に対するとてつもない興味がなせる技だと思えます。受験生についてもご自身の実体験と、臨床心理士としての深い洞察から、真の受験生の心の友となっていただけること請け合いです。先生のユニークで的を得たお話しを、お楽しみください。

  • 奈良学園大学保健医療学部教授
  • 大阪大学医学部講師
  • 心療内科医・臨床心理士
  • 京都大学講師
  • なかがわ中之島クリニック院長
  • 大阪医歯学院顧問医師
<著書・共著>
「心療内科のメルヘン・セラピー」(講談社)
「やすらぎが見つかる心理学」(PHP)
「心理療法」(朱鷺書房)
「ココロの健康からだの医学」(フォーラムA)父(故人)中川米造先生との共著 他

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