中川先生の「ためになる話」

夢をかなえることについて

あれほど暑かった夏が過ぎて、朝夕は肌寒いほどですが受験生の皆さんは 風邪をひかないよう気をつけてください。

さて、今日は「夢をかなえる」ということについて考えてみましょう。
皆さんの夢はどんなでしょうか?医者になること、歯科医になること、 獣医になること、薬剤師になることなど色々あるでしょうね。当面は大学に 合格することが皆さんの夢でしょうか。ぼくは来年還暦つまり60才になります。 昔だとそろそろ引退して隠居生活に入る年です。身体はあちこちボロが出てますし、 記憶力も衰えてきました。でもまだ諦めてしまうほどではありません。
まだ何か出来そうです。ただし、医者としてこれから新しい治療法を発見したりなど という力はもうないかもしれません。何が出来るか何がやりたいのか考えたのですが、 どうもぼくは皆さんにバトンを渡したいのです。そう、リレーのバトンです。
ぼくも先人から渡されてきて引き継いできたバトンを次に渡すという大仕事が残ってました。

医療という仕事は、人類の歴史と同じくらい古いと言われています。そして医療という 仕事は連綿として先人から次の世代へと引き継がれてきました。古代エジプトではパピルス に産婦人科学、獣医学、外科に関する記述がすでにみられますし、ギリシャ時代には現代の 臨床医学の基礎をつくり「医学の父」と呼ばれたヒポクラテスが現れました。ローマ時代には 人体解剖学の基礎を作ったガレノス、暗黒時代と呼ばれた中世ヨーロッパで敢然と迷信に 立ち向かったパラケルスス(彼は錬金術師として有名ですが、本業はあくまで医者です)、 18世紀の英国の天才外科医ジョン・ハンター、19世紀に細菌学を確立させたロベルト・コッホ。 キラ星のような大先輩たちばかりでなく、名も知れない幾千万の先輩たちが命を削って繋いできた医療という仕事を皆さんは引き継ぐことになります。

この仕事は骨がおれます。患者さんは次から次へとあなたの前に現れます。 治しても治しても、新しい患者さんがあなたを待っています。きっとあなたは疲弊するでしょう。 他の分野の科学者は研究を成し遂げると成果として残ります。我々の仕事では成果を残す人もいますが、 まずは患者さんを治すことが先決なので成果は二の次ですし全く残らないことの方が多いのです。 そして病気はなくなることがありません、いわば「我々」ははてしない道を歩き続けることになります。 自分の命が尽きても、次の世代がこの道を歩き続けることになります。「我々」というのは医療の道 に志した者のことです。世代交代をくり返しながらも医療はいつも病者のためにあります。あなたが 選んだ道は安易ではないし大金持ちになれる道でもありません。しかし医療は人類が残した最良の遺産 であることは確かです。もしあなたが苦労もいとわず良い医療者になろうとするならば、ぼくを含めて 「我々」は喜んであなたを仲間に迎えることでしょう。

来年、大学のキャンパスで「我々」は待ってます。あなたがキャンパスに立つ時あなたはもう「あなた」 ではなく「我々」になっていることでしょう。

顧問医師:中川 晶

中川晶先生プロフィール

中川晶先生プロフィール

 産経新聞の『中川晶の"生き方セラピー"』でご存知の方もおられると思います。
10年来お付き合いいただいている私共が言うのもなんですが、それはもう愉快な方で、一度語り始めると尽きることがないかのように実に幅広い、しかも有益で面白い話題が湧き出てくるのです。これはおそらく、一度や二度ではない挫折体験と、森羅万象に対する、特に人間に対するとてつもない興味がなせる技だと思えます。受験生についてもご自身の実体験と、臨床心理士としての深い洞察から、真の受験生の心の友となっていただけること請け合いです。先生のユニークで的を得たお話しを、お楽しみください。

  • 奈良学園大学保健医療学部教授
  • 大阪大学医学部講師
  • 心療内科医・臨床心理士
  • 京都大学講師
  • なかがわ中之島クリニック院長
  • 大阪医歯学院顧問医師
<著書・共著>
「心療内科のメルヘン・セラピー」(講談社)
「やすらぎが見つかる心理学」(PHP)
「心理療法」(朱鷺書房)
「ココロの健康からだの医学」(フォーラムA)父(故人)中川米造先生との共著 他

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